高尿酸血症とプリン体の関係性について

◆プリン体は体に悪い?

プリン体を多く含む食品を摂取すると尿酸値が高くなると言われていますが、あまり神経質になりすぎる必要はありません。高尿酸血症の原因は、プリン体の多い食品の取りすぎだけでなく激しい運動、個人の持つ遺伝や体質など、様々な要因が重なっています。また尿酸は体内への取り込み、その排出が滞ることによっても尿酸値は高くなります。

プリン体を多く含む食品は、牛、豚、鶏のレバーなど動物の内臓類が代表的で青背の魚や魚貝類、干し椎茸などにもプリン体が多く含まれていますが、プリン体はほとんど全ての食品に含まれているので摂取をゼロにすることはまず不可能です。しかし、これらの高プリン体食品は栄養面でも優れているので無理に制限をする事は健康維持を損なうことにもなりかねません。

食品名 プリン体含有量(mg) 目安量(g)
煮干し 746.1 100
鰹節 493.3 100
干し椎茸 379.5 100
豚レバー 284.8 100
牛レバー 219.8 100
鶏レバー 148.3 100
牛ひれ 98.4 100
するめいか 81.0 100
ホタテ 76.5 100
カイワレ大根 73.2 100
ブロッコリー 70.0 100
さんま(干物)1枚 68.0 75
ベーコン 61.8 100
真蛸 57.0 100
鶏ささみ 54.0 80
まぐろ赤身 54.0 80
鶏手羽肉 48.0 80
ひらめ 46.0 80
たらこ(1腹) 45.0 80
もやし 44.7 100
冷奴 31.1 80
白米 25.9 100
チーズ 5.7 100

これらの食品以外では砂糖の主成分であるショ糖・果物の果糖などは摂取量に比例して尿酸値が上昇しますので、甘いものにも注意が必要です。また、プリン体は水に溶ける性質があるので、煮る、茹でるなどの加熱調理法でプリン体量を約30%減らすことが可能です。鰹節や煮干し、干し椎茸にプリン体が多くても、一度の調理に使うそれらの量は多くないので普通に出汁をとる程度は過剰摂取の心配はありません。

このようにプリン体摂取の量の調整は必要ですが、尿酸の排泄を促すために水分をたくさん摂るようにしましょう。水分の摂取は1日2リットルが目安です。1度に大量に飲まずに、コップ1杯程度の水をこまめに取る方が効果的です。特に、汗をかいた時は積極的に水分補給をしましょう。麦茶や緑茶、ウーロン茶などのお茶類はお勧めしますが、ソフトドリンクやアルコールは尿酸値を上げる作用があるので適していません。また、紅茶やコーヒーの摂り過ぎは利尿作用が強く、水分を排出しすぎてしまうので避けた方が良いでしょう。
逆に、乳製品はプリン体が少なく、尿酸を排出する作用があるため、コレステロール値が高くない人は積極的にとると良いでしょう。

とにかく1つの食品に偏らないでバランスよく食べること、一度に沢山の量のプリン体食品を摂取しないことを常に守ってさえいれば健康を大する事はありません。

次に、ビールに含まれているプリン体についてですが、プリン体は細胞の核に含まれる物質なので、当然ビールだけに含まれるものではありません。先に記述の通りレバーなどの動物の内臓類を始め穀類や野菜、豆類、肉類、魚類などの食品すべてに含まれており、その含有量はビールをはるかに超えています。
実際、ビールに含まれるプリン体の量は、後から11mg/100ml程度で白米の半分から30%程度、肉に含まれるプリン体量の5%程度です。
他の種類では焼酎0.0g、ウイスキー0.1mg、グランデ0.4mg、日本酒1.2mg、ワイン0.4mg(/100ml)で、ビールはやや高めですが食品全体からすると摂取量としてさほど問題では無いのです。
では、なぜ痛風や高尿酸血症の患者は「ビールを控えた方が良い」と言われるのでしょうか。

その理由は、3つあります。

1.ビールは酒類の中ではプリン体が多いこと。他の酒類に比べ痛風の原因である血清尿酸値の上昇を引き起こしやすい。
2.一般的にビールは大量に飲まれることが多い。ビール中のプリン体は、食物中のプリン体より吸収率が高い可能性があるとも言われている。
3.アルコールは、それ自体が体内で分解される際に尿酸を作って尿中の尿酸が排泄されるのを阻害し、血清尿酸値を上昇させやすい。

つまり、プリン体がごくわずかしか含まれていない焼酎やウイスキーなども、たくさん飲めば尿酸値は上がると言うことです。

⇒尿酸値が高くなると…

⇒痛風の症状と原因とは