痛風から引き起こされる「痛風結石」と「腎臓障害」とは

◆痛風結石と腎臓障害、腎不全、尿毒症

痛風を引き起こす原因となっている症状として3つの過程があります。まず、高尿酸血症の状態を放っておくと、血液中に溶け切れない尿酸が関節や皮下に針状の結晶となって蓄積して痛風発作を起こす原因になります。

まず最初の過程は、「無症候性高尿酸血症期」と呼ばれ尿酸値が正常値の 7.0mg/dl を超えても、すぐに痛風などの自覚症状が現れるわけではありませんが、健康診断等を受診していなくて、自分の尿酸値を知る機会がない場合などは、痛風発作を起こして初めて自分が高尿酸血症だとわかる人もいます。

次に、間欠性痛風発作期と言われるもので、これまで何の症状もなかったのに、ある日突然、足の親指の付け根などが激しい痛みに襲われるなど、この痛風発作が起こったりおさまったりを繰り返すことがあります。
最初の発作は数日から1週間程度で何事もなかったかのように治ります。しかし尿酸値の高い状態をそのままにしておくと2度目3度目の発作を繰り返すことになります。
発作の頻度はその人の尿酸値によって違いはありますが、適切な治療を行わないと発作の間隔が次第に短くなっていきます。

この痛風発作期を放置したまま正しい治療を行わないと、痛風の症状が悪化し痛みなどが慢性化します。この時期は「慢性結節性痛風期」と呼ばれています。

この時期に至ると体のあちこちに尿酸が沈着してこぶ状の「痛風結石」ができてきます。これ以外にも腎臓障害を起こしたり、他の様々な合併症を引き起こす危険性がかなり高くなります。

このように痛風は決して放置しておいてはいけない病気です。

「痛風結石」は激しい痛みを伴うものではありませんが、体内で過剰となった尿酸が関節部だけでなく、皮下などに沈着して塊となる状態などでできる場所はまちまちですが比較的温度の低い肘やくるぶしなど手足の関節部や足の後の甲、耳の縁などにできやすいとされています。また、尿酸の沈着腎臓などの内臓器官にできることもあります。

痛風結石は、最初のうちは柔らかく次第に硬くなっていきます。実際に触っても痛みはありませんが、そのまま放置するとだんだん大きくなっていきます。その後悪化すれば骨を破壊することもあるので大変危険です。とにかく痛風結石ができたら、痛風はかなり進行していると判断して良いでしょう。このような危険な合併症を起こさないためにも一刻も早く適切な治療をして尿酸値を下げる処置を行うことです。

また特に注意しなければならない合併症の1つで腎臓障害があります。
腎臓は非常に我慢強い臓器ですが、尿酸が腎臓に溜まって負担がかかると働きが悪くなっても腎臓自体が痛むほどの自覚症状はほとんどありません。このため腎臓障害の発見も遅れてしまいがちです。

このような状態で放置しておくと、腎臓内や尿路に溜まった尿酸が結晶化し、結石ができやすくなります。
尿路結石が暴れると、下腹部や腰に激痛が走り血尿を伴います。結石によって尿の排泄が阻まれると腎臓の機能が著しく低下します。こうなると、腎不全から尿毒症に至る事態も考えられます。腎臓そのものに尿酸が沈着してさらに動脈硬化も加わり腎機能低下させる痛風腎と言う状態を引き起こします。
腎臓がダメージを受けることで他の合併症も誘発されやすくなるので注意することが必要になります。

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