本当に怖い合併症について

◆合併症の恐怖

高尿酸血症、痛風は、ややもすると発作時の激しい痛みばかりが取りざたされていますが、今では尿酸値を抑える治療法は発達してきて発作も簡単に予防できるようになってきました。病気を自覚し治療する努力を惜しまなければ痛風で命を落とすような事は今はありません。
しかしその一方で、様々な合併症を起こすケースも多くなっています。そのほとんどはいわゆる生活習慣病で、その中には狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害も含まれ、命にかかわる重大な病気になることもあります。高尿酸血症や痛風で本当に怖いのは発作による激痛ではなくてこのような合併症を意味します。その中で特に気をつけておきたい病気をいくつか紹介しましょう。

その1つ目は高血圧です。高尿酸血症、痛風と高血圧は互いに極めて親密な関係にあって合併しやすいことが知られています。これらが合併すると動脈硬化が一段と進んで脳卒中や心臓病の危険性が高くなります。
また、血圧を下げる薬の中には尿酸値を上昇させる作用のものもありますので、これらを扱うときは医師と相談して薬の選択にも注意をすることが大切です。

次に気をつけておきたいのは脂質異常症です。これは血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に増加して起こる病気で、最近では現代人に急増してきています。尿酸値の高い人に合併しやすい症状で、高尿酸血症の人の約半分以上に脂質異常症の傾向があると言われています。
尿酸値を上げるような生活習慣は、また同時に脂質異常症も招きやすいと言われており両者が合併すると動脈硬化が進みます。それによって心臓病などが引き起こされる恐れがあり注意が必要です。

次に、糖尿病予備群として血糖値が異常に高くなる病気も考えられます。糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンに異常が起こるなどの原因で血糖値が高くなる病気です。これは日本人の国民病と呼ばれるほど今も急増中で多くの合併症を引き起こしています。
高尿酸血症や痛風の人は糖尿病の予備群が多く、このことは両方の疾患の危険因子に共通のものが多く含まれているためであると考えられています。
また心臓病や脳血管障害も合併症として注意が必要です。狭心症や心筋梗塞や脳梗塞はいずれも動脈硬化が原因で起こる病気で特に命にかかわる重大なものです。高尿酸血症や痛風の人は動脈硬化が進みやすいためこうした病気を合併しやすくなり、更に高血圧や脂質異常症や糖尿病などを合併すると血管に大きな負担をかける事になり非常に危険です。

心臓病や脳血管障害がそれらの病気と合併する事がないよう初期の段階から十分な注意が必要です。

⇒痛風と間違われやすい症状の病気とは